スペイン語の文章を見たり、聞いたりしていると「que」と同様に「se」もたくさんありませんか?
この「se」は、口語でも文語でも、さまざまな文脈やさまざまな機能で使用されるため、多くの混乱を引き起こします。
とても奥が深いので「これぞスペイン語の世界!」という感じで勉強しがいもあります。
ここでは、「se」の最も重要な使い方を8つの項目にわけてまとめています。
簡単に補足説明をしていますが、日本語で考えずに、とにかく、例文で状況を理解して覚えていった方がわかりやすいです。
間接目的語として
三人称の間接目的格「le / les」は、後ろに直接目的格「la / lo / las / los」がくると発音しづらいので、「se」に変わります。
Por ejemplo:
Juan da un libro a María.(フアンはマリアに本をあげる) → Juan se lo da.(フアンは彼女にそれをあげる)
(✕) Juan le lo da.
- Juan se lo dio.
ファンは彼(彼女)にそれをあげた。 - Se lo dije ayer.
昨日、私は彼(彼女)にそれを言った。 - Ana, por favor, devuélveselo.
アナ、彼(彼女)にそれを返してあげてください。 - Se lo tenemos que decir pronto.
私たちは早く彼(彼女)にそれを言わなければいけない。 - Creo que Diego tiene una tabla de surf. Se la voy a pedir este fin de semana.
ディエゴはサーフボードを持っていると思う。今週末、彼にそれを頼んでみるつもりだ。
再帰代名詞として
動詞の目的語が主語と同一で、自分の行為が自分自身に及ぶ場合、「自分自身を/に」にあたる「三人称単数・複数の再帰代名詞」が「se」です。
Por ejemplo:
llamar(名づける)+ se(自身を)= llamarse(・・・という名前です)
- Ana se peina.
アナは髪をとかす。 - Pepe se lava los dientes.
ペペは歯を磨く。 - Mi amigo Raúl se ducha por las mañanas.
友人のラウルは朝シャワーを浴びる。 - Rosa se lavó las manos.
ロサは手を洗った。 - Se seca las manos con una toalla.
彼(彼女)はタオルで手を拭く。 - Pedro se mira en el espejo a todas horas.
ペドロはいつも鏡を見ている。 - La niña se miró en el agua.
少女は水の中の自分を見た。 - Mis amigas se limpian las uñas con unas tijeras especiales.
私の友達は特別なハサミで爪を手入れしている。 - Marcela se levanta muy temprano y se acuesta muy tarde.
マルセラはとても早起きだが、寝るのはとても遅い。
相互用法
主語は複数形であり、その者同士が互いに同じ行為をしあうことを「se」で示します。
Por ejemplo:
Juan y María se abrazaron para saludarse. (= Juan abrazó a María y María abrazó a Juan)
フアンとマリアは抱き合って挨拶した。
- Se quieren mucho.
彼らは深く愛し合っている。 - Mis padres se conocieron hace muchos años.
私の両親は何年も前に知り合った。 - Juan y Pedro se escriben cartas.
フアンとペドロは互いに手紙を書いている。 - Hace días que no se hablan aquellos dos.
あの二人は何日も口をきいていない。 - Luis y Antonio se prestan los apuntes.
ルイスとアントニオはノートを貸し合う。 - Los novios se besaron delante de todo el mundo.
新郎新婦はみんなの前でキスをした。 - Se pasan la pelota unos a otros.
彼らは責任を転嫁し合っている。 - Los dos se hicieron guiños.
二人は互いにウインクした。 - Durante toda la película los dos protagonistas se pelean todo el tiempo, pero al final se besan… Qué predecible.
全編にわたって主人公の2人はケンカばかりしているが、最後にはキスをする・・・なんと予想通りの展開だろう。 - Aunque son personas muy diferentes, se entienden muy bien.
ふたりはまったく違う人間だが、お互いをよく理解している。
動作の強調
飲食などの摂取、認知・認識を意味する再帰動詞は、特別な関わりを暗示し、その行為の十分な遂行を意味する「se」があります。
Por ejemplo:
beber-se
「se」が付くと「残らず飲み干す」と言う意味になります。
Pepe se bebió una botella de vino.
ペペはワインをボトル1本飲んだ。
- Ana se bebió dos cafés.
アナはコーヒーを2杯飲んでしまった。 - Se ha comido dos pizzas.
彼(彼女)はピザを2枚たいらげた。 - Mi hija no puede comerse todo esto.
娘はこれ全部は食べられない。 - Se bebió toda la botella de vino.
彼はワインをボトルごと飲み干した。 - ¡No me lo puedo creer! Sara se ha comido todas las croquetas ella sola.
信じられない!サラは一人でコロッケを全部食べてしまった。 - Pepe se leyó el principito en un día.
ぺぺは「星の王子さま」を1日で読んでしまった。
転意用法
主語が意識的に動作を行わないときに使う表現です。
よく使われる動詞
morirse, caerse, dormirse, sonrojarse(自然に起きる動作)
irse, mudarse, volverse(移動を伴う動作)
etc.
- Juan se durmió en el clase.
フアンは授業中に居眠りしてしまった。 - María se mudó de casa el sábado.
マリアは土曜日に引っ越した。 - Paco se volvió en seguida.
パコはすぐに引き返した。 - El delantero se quebró la pierna.
ストライカーは足を骨折した。 - Se cayó en la calle sin darse cuenta y se desmayó.
彼(彼女)は気づかないうちに路上で転倒し、気を失った。 - No se avergüenza de sus errores.
彼(彼女)は自分の過ちを恥じることはない。 - Él se arrepiente de lo que hizo.
彼(彼女)は自分のしたことを後悔している。 - Mi padre no se queja nunca.
父は決して文句を言わない。
予期せぬ状況や偶発的な状況
意図せずにアクションが発生したときに使われます。
事・物が主語になり、「それが勝手に」というニュアンスが生まれます。
よく使われる動詞
acabar, caer, descomponer, olvidar, perder, quebrar, quedar, quemar, romper
etc.
Por ejemplo:
“Se me rompió el espejo”(鏡が壊れちゃった)
1. 壊れた「Se rompió」
2. 影響を受けたのは「me」a mi(私)
“Se te olvidaron las tareas”(宿題を忘れちゃった)
1. 忘れた「Se olvidaron」
2. 影響を受けたのは「te」a ti(君)
- Se me olvidaron los cuadernos.
うっかりしてノートを忘れてきた。 - A Diego se le olvidó llamarme.
ディエゴは私に電話するのを忘れた。 - Se me ha mojado el abrigo con la lluvia.
雨でコートが濡れてしまった。 - Se me ha perdido el bolígrafo.
ペンを失くしてしまった。 - Se te olvidó hacer la tarea y traer los libros.
君は、宿題も忘れてちゃってるし、本も持ってきてない。
無人称表現
動作主は「一般的な人々」などを指します。
主語を特定せず、「人はだれでも」「人々は」というニュアンスになります。
この部分は日本語に変換して考えない方が良いです。
動詞は必ず3人称単数形であることを覚えておきましょう。
Por ejemplo:
Se come muy bien en este restaurante.
このレストランはとてもおいしい。(人は誰でもこのレストランでとてもおいしく食べる)
※しかし「動作を強める用法」として「このレストランでは(彼/彼女は)よく食べ尽くす」という意味にもとれるので、前後の文脈で判断することになります。
- Se dice que los niños dicen siempre la verdad.
(人はだれでも)子どもはいつも真実を話すと言われている。 - Se ayudó a los más necesitados.
(人々は)最も必要としている人々を助けた。 - En el norte se come bien.
北部は食べ物がとてもおいしい。 - Se busca a los turistas que subieron borrachos a las pirámides de Egipto.
酔っぱらってエジプトのピラミッドに登った観光客を捜索中。
受動的
動作主が「重要でない」「不明」なときに使われる表現です。
この表現では、主語が「物または抽象名詞(事柄)」であるのが特徴です。
広告で使われるのが一般的です。
Por ejemplo:
La casa fue vendida por una agencia del vecindario.(この家は、近隣の仲介業者によって売却された)→Se vendió la casa.(家は売りに出された)
- Se venden carros nuevos.
新車が売られている。 - Se hacen camisetas personalizadas.
名前入りTシャツを製作。 - Se alquilan habitaciones.
貸間あり。(部屋が貸される) - Se alquila casa de verano.
夏の貸別荘あり。 - Se buscan estudiantes activos.
アクティブな学生を募集。 - Se robaron las joyas de la corona.
王冠の宝石が盗まれた。 - Se ha divulgado la noticia.
そのニュースが広まった。 - Se vendieron dos pisos en este portal.
このポータルサイトでは、2つのアパートが販売された。 - Se multa por aparcar en la acera.
歩道上の駐車は罰金。 - En este museo se cierra a las tres.
美術館は3時に閉まる。 - La puertas se abren a las diez.
門は10時に開かれる。 - Se trabajó mucho ayer.
昨日はたくさんの仕事があった。 - Para ese puesto se requieren dotes de mando.
このポジションにはリーダーシップが求められる。
「se」の置き場所
- 「se」は、動詞の前か不定詞の後ろに置くことができます。
“Se puede observar” o “Puede observarse“ - 2つの「se」を使用して文章にしたい場合は1つの「se」だけです。
“Se debe lavar las manos”
(✕) “Se debe lavarse las manos”.
参考文献
スペイン語のseの態に関する認知言語学的考察(東北大学高度教養教育学生支援機構)
https://researchmap.jp/tabayashiyouichi/published_papers/41963549/attachment_file.pdf
Gracias por leerme. Hasta la próxima.