コロナ渦の2020年も残りわずかとなり、今年を振り返ったり、来年の抱負を考えたりする人もいるかと思います。
そんなとき、スペイン語でどう言おうかな~と考えてみると、だいたい仮定文(条件文)になると思います。
たとえば、
「もしもっとスペイン語が話せたら、昨晩のオンライン飲み会でもっと楽しめていたのにな~」
と、ちょっと残念だったことを振り返る、
「悪い記憶を消すことができたらいいのに」
は、叶うかどうかわからない単純な願望、
ほかにも、
「もし接続法がなかったら、スペイン語はもっと簡単だろうな」
「もし私が彼女だったら、そんな男と結婚しないだろうな」
(笑)
など、ふだんの行為をスペイン語で言いたい文章が仮定文(条件文)や願望文にはたくさんあるのです。
接続法になり、時制のルールがあるのでちょっとややこしいですが、しっかり覚えてしまえば簡単です。身につけると、会話の幅がグーンと広がって、もっとスペイン語が楽しくなるので、ぜひ特訓しましょう。
スペイン語では、仮定「suposiciones」、条件「condicionales」、願望「expresar deseos」と表現します。
ちなみに、上の4つの文章をスペイン語にすると、以下のようになります。
- Si supiera hablar más español, hubiera podido divertirme más la fiesta de bebida en línea de anoche.
- ¡Ojalá pueda /pudiera / pudiese borrar malas memorias!
- Si no existiera el subjuntivo, el español sería más fácil.
- Si yo fuera ella, no me casaría con ese hombre.
スペイン語の仮定文とは
現在と過去の事実にないことの仮定を言います。
スペイン語文法で「仮定」とは、事実でないことの仮定にかぎって用います。事実とは、現在および過去についてあり得るので、未来はまだ事実になっていません。
(未来についての「もし・・・なら」という文は仮定ではなく、条件文と呼んで区別します)
仮定節 | 帰結節 | |||
Si yo | tuviera | dinero ahora, | lo | compraría. |
接続法過去 | 直説法過去未来 | |||
もし私が | 持っているとしたら | お金を今 | それを | 買うのですが |
「もしAならBなのに」という文が事実に反することを述べるとき、その文全体を仮定文、「もしAなら」の部分を仮定節、「Bなのに」の部分を帰結節と呼びます。仮定節、帰結節がそれぞれ現在の仮定かに応じて、動詞活用を使い分けます。
現在の事実 | 私はお金を持っていません。 | Yo no tengo dinero. |
事実に反する仮定 | 「もし(今)私がお金を持っているとしたら」 | Si yo tuviera dinero ahora, |
仮定の結び | 「それを買うのですが」 | lo compraría. |
お金がないときに、「もし私がお金を持っているとしたら、この本を買うのですが」と言うと、仮定です。
「私はお金がないので、この本を買わない」は、事実です。
非現実的な仮定表現
現実的でないことや、事実でないこと(仮定文)
仮定節は、いずれも「Si + 接続法」で過去形を使います。
仮定節 | 帰結節 | |
現在の事実に反する | (A) Si + 接続法過去 -ra形,-se形 Si viniera |
(1) 直説法過去未来 cantaría (直説法線過去) cantaba |
過去の事実に反する | (B) Si + 接続法過去完了 -ra形, -se形 Si hubiera venido |
(2) 直説法過去未来完了 habría cantado (直説法過去完了) había cantado (接続法過去完了 -ra形) hubiera cantado |
1. 現在の事実に反すること、実現の可能性が低い未来のこと
(A)+ (1)【si 接続法過去 + 直説法過去未来】
- Si hiciera buen tiempo hoy, iría a la playa.
もし今日、天気が良ければ、海岸に行くのですが。
(Pero como hace mal tiempo, no voy a la playa)
(でも、実際は天気が悪いので海岸へ行かない。) - Si hiciera buen tiempo mañana, iría a la playa.
もし明日、天気が良ければ海岸へ行くのですが。
(Pero como el pronóstico del tiempo dice que va a llover, no iré a la playa)
(でも、実際は天気予報で雨が降ると言っているので、海岸には行かないだろう)
(A)+ (1)【si 接続法過去 + 直説法線過去】
話し言葉では、帰結節で直説法過去未来の代わりに直説法線過去が使われることもあります。
- Si yo fuera millonario, compraría / compraba una casa muy grande.
もし私が億万長者なら、大きな家を買うのですが。
(でも、実際は億万長者でもなく、大きな家も買えない)
2. 過去の事実に反すること
(B)+ (1)【si 接続法過去完了 + 直説法過去未来】
- Si hubieras salido ayer, ahora ya estarías aquí.
もし君が昨日、出発していたら、今はもうここにいるのですが。
(Pero como no saliste ayer, ahora todavía no estás aquí)
(でも、実際は出発していないので、まだここにいない)
(B)+ (2)【si 接続法過去完了 + 直説法過去未来完了】
- Si hubiera hecho buen tiempo ayer, habría ido a la playa.
もしも昨日、天気が良かったら、海岸へ行っていたのですが。
(Pero como hacía mal tiempo, no fui a la playa)
(でも、実際は天気が悪かったので、海岸へ行かなかった) - Si no hubiera tenido tanto trabajo ayer, habría ido a la fiesta de despedida de Luis.
もし昨日、あんなに仕事をしていなければ、ルイスの送別会に行っていたのですが。
(過去である「昨日」の事実としては、私は仕事があったし、ルイスの送別会には行けなかった)
(B)+ (2)【si 接続法過去完了 + 直説法過去完了 / 接続法過去完了 -ra形 】
帰結節で、直説法過去未来完了の代わりに、直説法過去完了、または、接続法過去完了(-ra形)が使われることもあります。
- Si me hubieras avisado antes, habría ido / había ido / hubiera ido contigo.
もし前もって知らせてくれていたら、君と一緒に行ったのですが。
(でも、実際は知らせがなく、君と一緒に行けない)
3. 現在の事実にも、過去の事実にも反すること
(A)+ (2)【si 接続法過去 + 直説法過去未来完了】
- Si me quisieras de verdad, me habrías llamdo anoche.
もし私のことを本当に愛しているなら、昨日、電話してくれたでしょうに。
(Pero como no me quieres, no me llamaste anoche)
(でも、実際は愛していないので、昨夜、電話をしてくれなかった)
(B)+ (2)【si 接続法過去 + 直説法過去未来完了 / 接続法過去完了 -ra形】
- Si yo fuera tú, le habría / hubiera mendado muchas cartas.
もし私が君なら、彼女にたくさんの手紙を送っていたのですが。
(事実としては、今「私」は「君」ではない上、過去にたくさんの手紙をおくることはなかった)
4. 未来にもあり得ない場合
未来にもあり得ないと思われる仮定は、「現在の事実に反する仮定」の形式を使用します。
(1)+ (A)【直説法過去未来 + si 接続法過去 】
- ¿Qué harías si yo fuese al universo mañana?
もし私が明日、宇宙に行ったらどうする?
5. 「まるで・・・するみたいに」
「まるで・・・するみたいに」を意味する como si に続く文の動詞も事実に反する仮定であれば、接続法過去形にします。
- Ella habla español como si fuera española.
彼女はまるでスペイン人であるかのようにスペイン語を話します。
(事実はスペイン人ではない) - Ella hablaba inglés como si fuera inglesa.
彼女はまるでイギリス人であるかのように英語を話しました。
(事実はイギリス人ではない)
主節動詞が過去で como si の内容を示す動詞の「時」が主節動詞の「時」よりも以前のことを言う場合は、接続法過去完了が使用されます。
- Me ignora como si no me conociera.
彼女はまるで私を知らないかのように無視をする。
Me ignoró como si no me conociera.
彼女はまるで私を知らないかのように無視した。 - Me ignoró como si no me hubiera conocido.
彼女はまるで私を知らなかったかのように無視した。
単純な仮定表現
実現の可能性のある条件文、現実性にこだわらない、単純な仮定の表現です。
現在でも未来でもありえることについては、「もしAなら」の部分を条件節と呼び、直説法を使用します。帰結節には、表現したい内容に合った動詞の形を用います。
条件節 | 帰結節 |
(A) Si + 直説法現在 Si viene |
(1) 直説法現在 canta |
(B) Si + 直説法線過去 Si venia |
(2) 直説法未来 cantará |
(C) Si + 直説法点過去 Si vino |
(3) 直説法線過去 cantaba |
(D) Si + 直説法現在完了 Si ha venido |
(4) 直説法未来完了 habrá cantado |
(E) Si + 直説法過去完了 Si había venido |
(5) 接続法現在 quizá cante 命令形など canta, etc |
※上の一覧表の内容は、一部です。他にも、時制の組み合わせはあります。
現在と未来のこと
(A)+ (1)【si 直説法現在 + 直説法現在】
- Si tengo frío, me pongo el abrigo.
もし寒ければ、コートを着るよ。
(A)+ (2)【si 直説法現在 + 直説法未来】
- Si vas en taxi, llegarás allí a tiempo.
もしタクシーで行くなら、時間通りに着くだろう。
(A)+ (4)【si 直説法現在 + 直説法未来完了】
- Si llueve mañana, no habrá partido de fútbol.
もし明日、雨が降ったら、サッカーの試合はないだろう。
(A)+ (5)【si 直説法現在 + 命令】
- Si me llaman, di que estoy fuera de casa.
もし私に電話があったら、家の外にいる、と言って。
過去のこと
(B)+ (3)【si 直説法線過去 + 直説法線過去】
条件節の動詞を現在、または線過去形にすると、現在、または過去の習慣的な行為について表現できます。
si のかわりに、cuando もよく使われます。
- Si tenía tiempo, iba a la biblioteca.
もし時間があれば、図書館へ行ったものでした。
(Cuando tenía tiempo, iba a la biblioteca.)
(時間があるときは、図書館へ行ったものでした。) - Si no me levantaba temprano, perdía el autobús.
もし早く起きていなかったら、バスに乗り遅れていた。
(C)+ (2)【si 直説法点過去 + 直説法未来】
軽い仮定で「~ということなら」の意味の表現です。
- Si la invitaste, sin duda vendrá.
彼女を招待したということなら、間違いなく来るだろう。
si が使えないもの
直説法未来(Si tendrá)、接続法現在(Si tenga)、接続法現在完了(Si haya tenido)は使えないので、注意しましょう。
たとえば、
「明日、君に時間があったら映画に行こう」をスペイン語にしてみましょう。
- Si tienes tiempo libre mañana, vamos al cine.
が正解です。
× Si tendras…
× Si tengas…
si の他の使い方
「対立、事実の提示」を表すこともあります。
- Si hay buenos, hay malos.
善人もいれば、悪人もいる。 - ¿De qué te quejas si lo tienes todo?
君は何でも持っているのに、何が不満なの?
si が名詞節を作るときは「~であるかどうか」という意味を表します。
- Paco me pregunta si tú irás mañana a Alicante con nosotros.
パコが、明日、私たちと一緒にアリカンテに行くのかどうか、きいてるよ。 - No sé si mis amigos vienen (o no vienen) hoy.
今日、私の友達が来るのかどうかわかりません。
願望の表現
願望文には、単純な願望と、非現実的なことを仮定してその実現を願うものがあります。どちらも、接続法を使います。Que, Ojalá, Quién などで始まる文の動詞は、接続法に活用して願望文になります。
現在と未来のことの願望
過去のことは過ぎたことなので、単純な願望は成立しにくいです。
まだ完了していないこと【Ojalá + 接続法現在】~ならいいのに
- ¡Ojalá estés aquí ahora mismo!
君が今ここにいてくれたらいいのになぁ! - ¡Ojalá todo salga bien!
なにもかもうまくいきますように!
- ¡Ojalá María haya llegado allí sin problemas!
マリアが無事に着いていたらいいなぁ! - ¡Ojalá Carlos haya terminado la presentación para mañana!
カルロスの明日のプレゼンの準備が終わっていたらいいなぁ!
- ¡Que te diviertes!
楽しんでね! - ¡Que tengan ustedes buen viaje!
皆さん、良い旅を!
意味内容が話し相手についてのことなら、命令的な願望の表現になりますが、usted(es)以外の3人称についてのことなら、間接命令になります。しかし、文脈によっては願望文にもなります。
詳しくは、こちらをご参照ください。
スペイン語の接続詞「que」の使い方・見分け方をわかりやすく!
- ¡Que Carmen viniese ahora a Tokio!
今、カルメンが東京に来ればいいのになぁ!
【Quién + 接続法過去】私が~ならいのになぁ(話し手が自分の場合)
- ¡Quién pudiera vivir en una casa tan grande como ésta!
私も、こんなに大きな家に住めればいいのになぁ!
過去の事実に反する願望【Ojalá + 接続法過去完了 / Que + 接続法過去完了】
- ¡Que te hubieras casado con Mary entonces!
君があの時、マリーと結婚していたらなぁ! - ¡Ojalá hubiera salido todo como se proyectaba!
すべてが計画通りにいけばよかったのになぁ!
もう一度おさらい
Si yo tuviera / tuviese dinero, lo compraría.
もし(今)私にお金があれば、それを買うのですが。
- 現在の事実に反していることに注意です。話し手が「もし・・・」のあとに接続法過去形を使用したら、聞き手は「この人はお金を持っていない」と判断します。
- 原則的なことを覚えて使用すれば、立派なスペイン語として通ります。地域差や個人差はありますが、一般的にスペインと中南米を含めて-ra形は、-se形の2倍ぐらいの率で使用され、中南米だけでは、-ra形は -se形の6倍という学者もいます。話し言葉には、-ra形が圧倒的に多いと言われています。
- スペインでは、-se形もかなり多く、ニュアンスとしては、-se形は、事実にまったく反し、-ra形は、少しは可能性のある表現に使用して、直説法過去未来に近いと言われています。
また、スペインと中南米を通じて、-ra形の使用が多いので、俗っぽく感じる作家さんは、 -se形を文語表現やエレガントな文体として使用する人もいます。
もっと詳しく接続法を知りたい
接続法を理解するためのヒントやポイントをまとめています。
【図解】慣れれば簡単!スペイン語の接続法