用法別でわかりやすく!スペイン語の「受け身」表現

用法別でわかりやすく!スペイン語の「受け身」表現

主語が「~する」という能動文に対し、「~される」文を受動文(受身文)と言います。
受動文(受身文)では、行為者が主語にならず、行為を受ける側が主語になります。
スペイン語は、新聞やビジネスの文においてはよく使われていますが、日常会話では、受身形をあまり使いません。
その理由に、再帰動詞を使った能動態で受動の意味を表現できるからです。

例えば、

Osamu Tezuka se le llama “El dios del manga”.
Osamu Tezuka es llamado “El dios del manga”.
手塚治虫は「漫画の神様」と呼ばれている。

Después de discutir mi novia se ha ido de casa (y me afectó mucho).
喧嘩をして彼女が出て行ってしまった。→ 喧嘩して彼女に出て行かれた。

逆に再帰動詞は日本語にはない感覚なので、スペイン語の文法の中ではちょっと難しい部分になります。
こちらも合わせてどうぞ!
スペイン語の「よく使う再帰動詞」と「さまざまな使い方」

 

SER+過去分詞

主に「書き言葉」で用いられます。過去分詞は名詞の性・数に一致します。
preguntar(質問する)→ ser preguntado(質問される)

通常の文章と受身文の違い

まず、文章の違いを見てみましょう。

Un extranjero me preguntó el camino.
外国人は私に道を聞きました。
Yo fui preguntado por el camino por un extranjero.
私はが外国人に道を聞かれました。

Alguien pisó el pie en el tren.
電車の中で誰かが私の足を踏みました。
En el tren yo fui pisado en el pie.
私は電車の中で誰かに足を踏まれました。

El profesor me elogió.
先生は私を褒めました。
Yo fui elogiada por el profesor.
私は先生に褒められました。

El perro persiguió al gato.
犬は猫を追いかけました。
El gato fue perseguido por el perro.
猫は犬に追いかけられました。

Mi hermana pequeña se comió mi pastel.
妹は私のケーキを食べてしまいました。
El pastel fue comido por mi hermana pequeña.
私は妹にケーキを食べられました。

息子は私のパソコンを壊しました。
Mi hijo me rompió el ordenador.
私は息子にパソコンを壊されました。
A mí me fue roto el ordenador por mi hijo.

Este templo, alguien lo construyó hace 100 años.
100年前にこの寺を建てました。
Este templo, fue construido hace 100 años.
この寺は100年前に建てられました。

Un ladrón robó el bolso de mi hermano.
泥棒は私の弟のカバンを盗みました。
Mi hermano pequeño, por un ladrón el bolso fue robado.
A mi hermano pequeño le fue robado el bolso por un ladrón.
弟は泥棒にカバンを盗まれました。

Todo el mundo quiere a aquella niña.
みんながあの子を愛しています。
Aquella niña es querida por todos.
あの子はみんなに愛されています。

La gente lee bastante esta revista.
人々はこの雑誌をよく読んでいます。
Esta revista es bastante leída.
この雑誌はよく読まれています。

その他の例文

Este pueblo fue construido por los inmigrantes.
この街は、移民によって創られました。

América fue descubierta por Colón.
アメリカはコロンブスによって発見されました。

El Quijote fue escrito por Cervantes.
ドン・キホーテはセルバンデスによって書かれました。

Las casas fueron arrasadas por el tifón.
台風で家が流されました。

El inglés es hablado en varios países.
英語はいろいろな国で話されています。

 

ESTAR+過去分詞

ある行為の結果としての状態を表します。過去分詞は主語になる名詞の性と数に一致します。通常、行為者は言及されません。

Este objeto está hecho de piel.
この置物は革で作られています。

Este libro está escrito en italiano.
この本はイタリア語で書かれています。

 

SE+他動詞三人称

主語が事、物の場合に用いられます。
再帰文の場合は「人やその他の生物」が自分に対して何らかの行為をしますが、「事柄や無生物」は、原則として行為をしません。
果物が自身に名前を付けたり呼んだりはしません。このような文章ならば、「受け身(~られる)」と思ってください。

Se vende muchas flores aquí.
ここでは、たくさんのが売られている。

Esta canción se canta durante la fiesta.
この歌は祭りのときに歌われます。

El sake se hace de arroz.
は米から作られます。

La cerveza se hace con cebada y el pan se hace con trigo.
ビールは大麦から作られ、パンは小麦から作られます。

Un nuevo libro se ha publicado.
新しい本が出版されました。

Se anunciaron los resultados del examen.
試験の結果が発表されました。

La fiesta se celebrará a partir de las 9.
パーティーは9時から開かれます。

 

三人称複数

主語のない「無主語文」になります。
日本語に訳すとすれば、以下の感じです。

  • 「人々は」と仮の主語を立てる
  • que 以下の目的語や目的語を主語とする受動文とみなす
  • 主語無し文として「・・・ということ」または「・・・とのうわさだ」

 

Dicen que la profesor está enferma.
先生は病気らしいです。

この「dicen」の訳は以下のようにも訳せます。

  • 人々は言う
  • 言われている
  • うわさだ
  • いうことだ

 

En Guatemala hablan castellano.

  • グアテマラではスペイン語を話します。
  • グアテマラではスペイン語が話されています。
  • グアテマラではスペイン語を話しています。

文の前後関係から最も良い訳と思えるものを選択できます。

 

被害受身、迷惑受身

日本語にはあるけど、スペイン語に訳しにくい受け身の文に「被害受身、迷惑受身と言われるものがあります。

まず、通常の文と受身文を見てみましょう。

En la guerra murió un hijo en la guerra.
戦争で息子が死にました。
Se me murió un hijo en la guerra.(Me afectó y me apenó)
戦争で息子に死なれました。(私に影響を与え、私を悲しませた)

ただ「~された」と言うのではなく、(かっこ)の中の気持ちのように、「自分にとって大事な事で、私に大きな影響がある」というニュアンスを含むときに使われます。

間接目的格の人称代名詞を使用する表現

間接目的格の人称代名詞はいろんな働きがあります。

El viento me arrebató el sombrero.
風で帽子を飛ばされた。(風が帽子を私から飛ばした)

Me robaron la cartera en el metro.
私は地下鉄で財布を盗まれた。(私から財布を盗んだ)

Me rayaron el coche y me enfadé.
車を傷をつけられて、腹が立った。
「Me rayaron」の「Me」 は、「車の所有者」を指す。
「me enfadé」は再帰動詞。

 

恩恵表現の受け身

スペイン語には訳しにくい表現ですが、以下のようなニュアンスになります。

「~してもらう」「~してくれる」

Mi hermana me ayudó a solucionar las preguntas de matemáticas.
妹が数学の問題を解くのを手伝ってくれた。

 

家族や友達などに使うとちょっと仰々しいですが、丁寧な表現をするならば、
「親切にも~してくれる」という構文
tener + la amabilidad de
ser + tan amable de
が使えます。

La secretaria tuvo la amabilidad de explicármelo.
La secretaria fue tan amable de explicármelo.
秘書の方が親切に説明してくださいました。

「~あげる」

話し手が他人に恩恵を与えるときは、
「~が・・・するのを手伝う」という構文
ayudar a + 人 + 不定詞
が使えます。

¿Te ayudo?
お手伝いしましょうか? = 手伝ってあげようか?

¿Te ayudo a preparar la presentación?
プレゼンの準備を手伝おうか? = プレゼンの準備を手伝ってあげようか?

 

スペイン語の文の構造を知ろう!

このように、日本語にはないスペイン語の文法は、語学の奥深さをよく知れるのでおもしろいと思います。
実は語学上達の早道は、文の構造を知ることなのでは!?
スペイン語の文とは何か?
こちらでまとめています。
スペイン語の文の構造を知ろう!

 

Gracias por leerme. Hasta la próxima.