スペイン語に限らず、外国語を上達させるための最も楽しく効果的な方法の一つは、テレビや動画をその言語で見ることです。
「勉強」とは思えない方法かもしれませんが、耳にその言語が馴染むことはとても大切です。
そのため、スペイン語を学習している方、これからスペイン語を勉強してみようかなぁという方は、スペイン映画を吹き替え版ではなくオリジナルのスペイン語版で見て、スペイン語を練習してみましょう!
絶望しないためのコツ
全ての言葉一つ一つを理解しているかどうかは重要ではなく、俳優たちのジェスチャーや表情などで、ストーリー自体の流れを掴むことができます。
そしてそこで発せられる言葉たちが場面とシンクロして、それぞれの言葉の使い方や意味がなんとなく分かってきます。
知らない単語があったとしても、物語が進んで行ったあとに「こういう意味だったのかも?」と思う瞬間があります。
意識的に意味を考える語彙もあれば、映画の中で何度も出てくる語彙に関しては、無意識に覚えている場合もあります。
リラックスしながら、簡単にスペイン語を学べるおすすめの映画14選をご紹介します。
食に関する映画
Temas de cocina
El olivo (オリーブの樹は呼んでいる)
España, 2016. Dirección: Icíar Bollaín
小さな村の農園で働く20歳のAlmaは、田舎で生きる知恵を教えてくれる祖父を慕っていました。
ところが息子たちに迫られて自分にとって特別な意味を持つオリーブの大木を多国籍企業に売ってしまった祖父は、その後病んでしまいます。
Almaは、オリーブの樹を取り戻すため、おじや友人と共に遠いドイツの町へ向かいます。
この映画は、自然や祖先から伝えられる文化の重要さを教えてくれますが、祖父はAlmaに植樹の方法を次のように言って伝えます。
Mi abuelo enseño a mi padre y mi padre a mí. Y yo te enseñaré a ti.
(わしの爺さんが父さんに教え、父さんがわしに教えてくれたのじゃよ。今度はわしがおまえに教えよう)。
Almaは、
Un árbol nuevo.
(新しい樹だ)
と目を輝かせます。
Como agua para chocolate(赤い薔薇ソースの伝説)
México, 1992. Dirección: Alfonso Arau
3人姉妹の末娘Titaは、末っ子が母親の面倒を見るという因習のために結婚することができません。Titaは、類まれな料理の腕をふるうことで恋愛感情を表していきます。
メキシコの伝統料理を味わえる映画です。
学生生活に関連する映画
Temas de la vida de los estudiantes
Machuca(マチュカ 僕らと革命)
Chile, 2004. Dirección: Andrés Wood
1973年、Allende大統領の社会主義政権に対してPinochet将軍が蜂起する数か月前のチリが舞台です。
上流階級の子弟Gonzaloが通う私立男子校に社会統合政策に従って、下層階級の少年Pedro Machucaが編入してきます。
生まれた環境は全く異なる二人ですが、互いの世界を認め合い友情を深めていきます。
編入初日の教室で、
Y usted, ¿cómo se llama?
(君、名前は何と言うのかね?)
と神父に尋ねられ、小声で名前を言うMachuca。
No escucho, más fuerte.
(聞こえませんよ、もっとしっかり)
と言われ、最後には叫ぶように
¡Pedro Machuca!
(ペドロ・マチュカです!)
と答えると、神父はようやく満足して、
Así está mejor.
(その方がいい)
と言います。
L’Auberge Espagnole(スパニッシュ・アパートメント)
Francia・España, 2002. Dirección: Cédric Klapisch
EUのエラスムス計画でスペインのバルセロナからやってきたヨーロッパ7か国の留学生がひとつのアパートで共同生活を送り、さまざまな文化摩擦を体験しながら成長していく課程をフランス人学生グザヴイエを中心に描いた物語です。
祭りの場面が見られる映画
Escenas de fiestas populares
Volver(ボルベール)
España, 2006. Dirección: Pedro Almodóvar
カンヌ国際映画祭及びスペインのゴヤ賞を獲得したVolverは、スペインのラ・マンチャ地方を舞台として、母を火事で亡くし、重大な秘密を抱えながらも娘を育てる主人公Raimubdaを中心に、母娘3代の女性たちが各々の悲惨な出来事を乗り越えてたくましく生きていく姿を描いた、Pedro Almodóvar監督の代表作の一つです。
死者の日を前に村の人々が墓地で歌いながら墓石を清掃している冒頭の場面で、Raimundaの娘Paulaは、墓地にいる人々のほとんどが未亡人の女性であることに驚きます。
それに対し、おばのSoleは、
Las mujeres de aquí viven más que los hombres.
(ここの女性は男性よりも長生きだからね)
Nosotros nos vamos, que hay que ver a la tía Paula.
(さあ、もう行きましょう。パウラおばさん[娘と同名]に会わないといけないから)
と促します。
Coco(リメンバー・ミー)
Estados Unidos, 2017. Dirección: Lee Unkrich, Adrián Molina
メキシコで最も重要な祝祭日「死者の日」をテーマにディズニーが制作したアニメ映画です。
死者は家族に思い出してもらわないと、死者の日にこの世に戻ることがてぎず、そのままあの世からも消滅してしまう掟があり、愛する人をいつまでも想う大切さが訴えられています。
有名なギタリストになる夢を持つ12歳の少年Miguelは、記憶も危うい曾祖母Cocoと話すのが大好きなことを、
Yo le cuento prácticamente todo.
(ひいおばあちゃんには何でも話すんだ)
と言います。
また音楽を禁じる厳しい母親にも、家を出る時にはいつも、
Te quiero, mamá.
(お母さん、大好き)
と言う家族思いの少年であることが描かれます。
La lengua de las mariposas(蜂の舌)
España, 1999. Dirección: José Luis Cuerda
市民戦争直前の緊迫したスペインを舞台に、喘息持ちの少年と、生徒に対する忍耐と敬意を失わない老先生との交流が描かれます。
村の生活やカーニバルの様子も知ることができます。
旅をテーマにした映画
Películas sober viajes
Diarios de Motocicleta(モーターサイクル・ダイアリーズ)
EE. UU.・Inglaterra, 2004. Dirección: Walter Salles
キューバ革命の立役者であるErnesto Guevara de la Serna(通称 Che Guevara)が親友Albertoと共に青年時代に行った南米縦断旅行記をもとに作られた映画です。
アルゼンチンの裕福な家庭に生まれた彼が行く先々で様々な経験をし、社会の矛盾に目を開いていく様子を丁寧に描きます。
映画は、出発の準備をする二人の映像と、
El plan: recorrer 8000 kilómetros en 4 meses(計画: 4か月で8000キロ走破)、
El método: la improvisación(方法: いきあたりばったり)、
Objetivo: explorar el continente latinoamericano que solo conocemos por los libros(目的: 本でしか知らないラテンアメリカ大陸を探る)
という、Ernestoの独自から始まります。
二人がまたがるポンコツのバイクをAlbertoは、「Don Quijoteを乗せるやせ馬Rocinante」にたとえます。
Vivir es fácil con los ojos cerrados(「僕の戦争」を探して)
España, 2013. Dirección: David Trueba
1966年のスペイン、Antonio San Románは、英語を教えるためにビートルズの歌を使う教員です。
敬愛するジョン・レノンが映画撮影のためにAndalucíaのAlemeríaを訪れていると知り、車を走らせる途中、家出した16歳のJuanjoと病院から逃げてきた21歳の女性Belénを乗せることになります。
三人は人生、友情、家族について考えながら旅を続けます。
BelénがJuanjoにAntonioの旅の目的を、
Va a conocer a Lennon.
(レノンに会いに行くのよ)
と説明すると、Juanjoは、
¿En serio?
(本当に?)
と驚きます。
Antonioは、満足げに、
Sí, voy a hablar con él.
(そうさ、彼と話しに行くんだよ)
と答えます。
The way(星の旅人たち)
España・EE.UU. , 2010. Dirección: Emilio Estévez
急死した息子がサンティアゴへの巡礼の途中だったと知ったアメリカ人の医者が、自分も巡礼の旅に出ます。この映画では、侵攻のためだけでなく、冒険心や観光の目的でも多くの人々が歩く世界有数の巡礼路el camino de Santiagoの様子を知ることができます。
El último traje(家へ帰ろう)
Argentina・España, 2017. Dirección: Pablo Solarz
ユダヤに出自を持つ年老いた仕立て屋が、遠い昔ナチスの収容所を逃れてきた彼を匿ってくれた友人に最後のスーツを贈るために、アルゼンチンから祖国ポーランドへ旅する物語です。
旅の途中で出会う人々に助けられるうちに頑なな心がほぐれていきます。
人の移動をテーマにした映画
Películas relacionadas con la inmigración
María, llena eres de gracia(そして、ひと粒のひかり)
Colmbia・EE.UU. , 2004. Dirección: Joshua Marston
麻薬の運び屋となった17歳の少女Maríaを主人公としてコロンビア社会の過酷な状況を描いたこの映画は世界に大きな衝撃を与えました。
ボゴタ近郊の田舎町に住むMaríaは、望まれぬ子を妊娠してしまった上、バラ園をクビになってしまいます。職を探している中、麻薬の運び屋の仕事を持ちかけられます。
麻薬を詰めたゴム袋をどのように飲み込んで運ぶかを教えてくれる女性に、Maríaが、
¿Cuántas veces lo has hecho?
(何回やったの?)
と尋ねると、女性は2回と答えます。さらに、
¿Y cómo le fue?
(それでどうだった?)
と聞くと、女性は、
Aquí estoy.
(こうして生きてるわよ)
と答えます。
不安に駆られながらもMaríaは62粒の麻薬とひと粒の命と共にニューヨークへ旅立つのです。
Perdiendo el norte(夢と希望のベルリン生活)
España, 2015. Dirección: Nago Garcia Velilla
スペインの大学生HugoとBraulioは卒業後にいい仕事に就けると期待したものの、経済危機のためスペインで職を得ることができません。
「世界のスペイン人」というテレビ番組でドイツへ移住した人がどんなにいい暮らしをしているかを見た二人はドイツへ向かいますが、そこで待っていたのは移民がみな経験する様々な問題でした。
ベルリンで二人を助けてくれる人々の中の一人が男運に恵まれないスペイン人女性Blancaです。
HugoとBlancaは徐々に心を許すようになります。
クリスマスイブにまた失恋したBlancaはHugoに、
Una amiga mía del colegio me invitó a su boda.
(友だちが結婚式に招待してくれたんだけど)
と悲しい出来事を語り始めます。
Roma(Roma / ローマ)
México, 2018. Dirección: Alfonso Cuarón
1970年代のメキシコで育った監督の幼年期と乳母の思い出に基づく映画で、3部門のアカデミー賞を受賞しました。
地方から都市に家政婦として働きに出てきた先住民の女性たちと中流から上流の雇い主の関係が描かれます。
彼女たちの母語はミシュテカ語という先住民語です。
映画を学習中の言語で見るということ
リスニング、理解力、発音、字幕でのスペルチェックなど、いくつかの言語スキルを一度に鍛えることができます。
こんな効率的な映画鑑賞という勉強方法のためにあなたがしなければならないことは、リラックスして座って(片手にポップコーンを持ってもOK!)、その物語に没頭することです。
聴くスペイン語
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Gracias por leerme. Hasta la próxima.