スペイン語の過去は苦しい・・・その使い分けがややこしい。
スペイン語の過去が難しい最大の原因は、過去の時制が何種類もあること。
直説法は5つ、接続法は4つも!(泣きそう・・・)
中でも、点過去と線過去がわかりにくいです。
ついでに、過去の進行形とか出てきたり、バラエティ豊富。
でも、普段の会話は「点過去」で済むと思います。
実際、ラテンアメリカのスペイン語は、「現在完了」を「点過去」で代用しています。
「昨日、ジムに行った」「先月に会った」など、ほとんどは「点過去」になります。
また、「昨日」とか「去年」などの過去を表す単語をつければ、相手は「過去の話だな」とわかったりするので、やっつけですが、動詞の変化も必要なかったりします。
線過去じゃないと話がおかしくなるのは、一部の動詞で「点過去と線過去」で意味が違ってくる場合などです。
そうは言っても、過去は現在の次に日常会話でよく使うので、スルーできません。
そんなたくさんあるスペイン語の過去を、今回は、
① 点過去
② 線過去
③ 現在完了
④ 過去完了
の4つについてまとめます。
点過去
Pretérito perfecto simple / Pretérito indefinido
「完了過去」「不定過去」とも呼ばれます。
点過去の用法
- 完全に終了した過去のできごとを瞬間的なできごととして表す
- 完了した動作
- 過去に行って、完全に完了した動作
- 過去に始まり、過去に終わったできごと
- 時を制限する語彙がある
- 状態の開始が終了したこと
Ejemplos:
- ¿Anoche a qué hora volviste?(昨夜は何時に帰ったの?)
- Vi la tele dos horas.(2時間テレビを見た。)
- Mis padres vivieron unos cinco años en Costa Rica.(両親は5年ほどコスタリカに住みました。)
- La fiesta terminó a las doce de la noche. Estuvo buenísima.(パーティーは12時に終了しました。素晴らしかったです。)
- Mi hijo habló a los diez meses.(私の息子は生後10か月でしゃべり始めた。)
時間を制限する語彙として、
- un rato(少しの間)
- todo el día(一日中)
- durante(~の間)
- desde… hasta…(~から~まで)
などがよく使われます。
線過去
Pretérito imperfecto
「不完了過去」「未完了過去」「継続過去」「半過去等」とも呼ばれます。
線過去の用法
- 過去に繰り返された行動や習慣
- 進行中の過去の始まりも終わりもわからない時
- 過去の行為や状態を「継続中のできごと」として述べる
- 点過去で示された行動と同時進行している場合
- 物語の登場人物、場所、目的を説明するため(情景描写)
- 過去の何かや誰かについて説明する必要がある場合
- 過去の時刻
- 現在の丁寧な表現
Ejemplos:
- Aún preparabas el desayuno.(きみは、まだ朝食を準備していたものでした。)
- El cielo estaba nublado ayer.(昨日は曇り空でした。)
- Yo iba a España muy a menudo cuando era pequeña.(私が小さい時、スペインによく行ったものです。)
- Eran las ocho de la tarde.(午後8時だった。)
- Estaba en el supermercado comprando fruta cuando me encontré con Rocío.(スーパーで果物を買っていたら、ロシオに遭遇した。)
「遭遇した」は完了、「果物を買っていた」のは「遭遇した」と同時で「未完了」です。 - Cuando subía las escaleras, sonó el teléfono.(2階に上がろうとしたら、電話が鳴った。)
「2階に行くところだった」は、進行中です。 - Eran las doce y la fiesta todavía no terminaba. Estaba buenísima.(12時になっても、まだパーティーは終わらなかった。素晴らしかったものです。)
進行中のイベントに「参加」しています。
点過去と線過去の違い
それぞれをより詳しく例文と共に解説します。
Ejemplo 1:
Cuando era estudiante iba a la biblioteca.(学生時代、図書館に通っていました。)
過去に繰り返される行動を表現
Ejemplo 2:
Cuando era estudiante estuve en Roma de viaje.(学生の頃、旅行でローマにいました。)
estaba en Roma にすると、「学生時代にローマで過ごした」となります。
Ejemplo 3:
El mes pasado hice lo que me recomendaste: comí mucha fruta, hice ejercicio y descansé 8 horas al día.(先月にあなたが勧めたように、果物をたくさん食べ、運動し、1日8時間休息しました。)
過去に起きたことの説明
ある期間(先月)に行われたいくつかの異なる行動が記述されています。「私は1日8時間休んだ」という期間もあります。
Ejemplo 4:
Le envié una correo electrónico porque necesitaba ese documento.(その資料が必要だったので、メールを送りました。)
過去と現在
necesitaba(線過去)は、過去に時間の経過とともに発展した何かを説明するため。進行中の過去です。
Ejemplo 5:
Terminó el curso de cocina en enero.(1月の料理教室は終了しました。)
過去に完了したアクションです。
Terminó varios cursos de cocina a lo largo del año.(彼は年間を通じていくつかの料理講座を修了しました。)
一連の完了したアクションで、一定の期間中に発生した場合。
Ejemplo 6:
Tenía 8 años cuando mi padre compró su coche.(父が車を買ったのは、私が8歳のときでした。)
状況描写の年齢は常に線過去で、完全に過ぎた場合は点過去です。
Cumplí 9 años el año pasado.(私は昨年9歳になりました。)
Hice 20 años el 5 de marzo.(3月5日で20歳になりました。)
Ejemplo 7:
Mi hijo habló a los diez meses.(私の息子は生後10か月でしゃべり始めた。)
Mi hija hablaba a los diez meses. (私の娘は生後10か月にはしゃべっていた。)
点過去と線過去の使い分けでニュアンスが変わります。
Ejemplo 8:
El otro día conocí a tu primo.(先日、あなたのいとこに会いました。)
Cuando me lo explicó, ya conocía la situación de su padre.(説明を受けて、私はすでに彼の父親の状況を知っていました。)
点過去と線過去でまったく意味が異なります。
Ejemplo 9:
Noté de repente un pinchazo en el hombro.(突然、肩がチクチクするような感じがした。)
知覚動詞 (気づく、知覚する、においをかぐ)など は、即時性 (突然、即座に)などを示す表現を伴う場合は点過去です。
しかし、このような場合は別です。
La tienda olía a canela.(店内にはシナモンの香りが漂っていた。)
Ejemplo 10:
Buenos días, quería un café.(おはようございます、コーヒーをいただきたいのですが。)
線過去は、ていねいな話し方、頼み方としても使用します。
現在完了
El pretérito perfecto / El presente perfecto
<haber + 過去分詞>で表します。「完了過去」とも呼ばれています。
現在完了の用法
- 話者にとっては過去の行動だが、現在に近いか、その時間やその日がまだ終わっていないとき
- 最近のできごと
- まだ過去になっていない期間のできごと
- 現在までの経験を表す
Esta mañana he desayunado una tostada con tomate y un café solo.(今朝はトマト入りトーストとブラックコーヒーの朝食でした。)
「ESTA MAÑANA」は、話し手にとって過去形だが、その期間はまだ終わっていない。
- esta mañana, esta semana, este mes, este año
- hoy
- hasta ahora
- ¿alguna vez?
- ya / todavía no/ aún no
- nunca
- últimamente
- hace un rato, hace cinco minutos…
などがついたら、すべて現在完了です。
Ejemplos:
- He desayunado café hoy.(今日の朝食はコーヒーにしました。)
- Este año he estado de vacaciones en París.(今年はパリで休暇を過ごしています。)
- Nunca he estado en Perú.(ペルーに行ったことがありません。)
- – ¿Has visto la nueva película de Javier Bardém?(ハビエル・バルデム監督の新作をご覧になったことはありますか?)
- – No, todavía no la he visto.(いえ、まだ見ていないんです。)
多くの場合、現在完了で示せる行動は点過去でも示せますし、逆も同じです。
どちらにせよ、過去形であることには変わりなく、「~した」と訳せます。
ラテンアメリカでは、現在完了をあんまり使っていなく、その調子でスペイン人に「点過去」で話したら「スペイン人はそういう場合、現在完了だよ」と言われたことがあります。(苦笑)
過去完了
El pretérito pluscuamperfecto de indicativo
<haberの線過去+ 過去分詞>で表します。
「大過去」とも呼ばれます。
過去完了の用法
- 過去のある一時点よりさらに過去のことを述べる
- 過去の人の経験
Ejemplos:
- Cuando llegué José ya había salido.(私が着いたとき、もうホセは出て行った後だった。)
- Ella no había visto nunca ese animal.(彼女はその動物を見たことがなかった。)
まとめの動画
この記事を動画でまとめています。さくっと復習したい場合に最適です。
楽な過去の使い方
私が「とりあえず過去」と別名で読んでいる「現在完了」をフル活用すると楽です。(笑)
短期の旅行などで、とりあえず通じればいいな、という人は、はじめに触れた「動詞の活用なしで、過去を示す単語を付ける」、そうは言っても、一応ちゃんとしたスペイン語を話したいなあ、という人は「現在完了」で良いのではないかと思います。
例文にも出した、
「He desayunado café hoy.」は、「エ・デサジュナド・カフェ・オイ」と発音しますが、ここから「エ」が抜けても相手は気づきません。
なので、活用が楽な過去分詞だけでもいいくらいです。書くときもアミゴたちはいきなり過去分詞からが多いです。
しかし、「-ado」「-ido」だけではない不規則変化のものがあります。
とりあえず、よく使う3つだけ覚えておくと良いです。
- hacer (~する): hecho
- decir (言う): dicho
- ver (見る): visto
とにかく喋りたくて学んでいる人は、文法に縛られると流暢に話せなくなると思うので、私はこんな程度でも困っていません。
スペイン語検定など、本格的に知識として学ぶのとは別物と考えています。
Gracias por leerme. Hasta la próxima.